2019年09月22日

認知症介護〜不眠症のブルース〜

「在宅介護で精神的に追い詰められて眠れない」というのが初見時の主訴でした。

91歳で亡くなられた母親の葬儀を終えられ、「ふぅ〜」と来院された69歳女性。もう10年以上のお付き合いになります。

初回の施術からしばらくして、近くの老健施設で母親を預かってもらえるようにはなりました。彼女の疲労困憊は一件落着?とんでもない。
 
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この国には、まるで遊牧民のように、3か月ごとに別の老健施設にいったん移動し続けなければならないシステムがあります。

彼女もその度に悩まれ疲れておりました。早く次の移動先を決め、うまく移動できないと高額の老人ホームへ預けるしか術がなかったのです。
 

介護離職。家族の介護のために「長年の仕事」を辞めざる得ない人もいます。
 
彼女もそうでした。年金と今までの貯金しか頼れるものが無い彼女。
 
早くに離婚をされていて、40歳になる一人娘は病気があって働けない状態です。

とても物静かで落ち着いた女性ですが、いざ介護の話題になると豹変したかのように母親への罵詈雑言を吐き出されていました。
 
「私の方が先にまいっちゃうよ~」
「泥棒扱いされて冗談じゃない!」
「早く死んでくれればいいのにさ」 

91歳の母親の死は、20年に及んだ認知症介護の終わりを意味しています。もう踵に灸などすえなくてもグッスリ眠れるようになるかも知れません。

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本来「福祉国家」とは家族に家庭や人生を壊してしまうような負担や努力を求めないものだと思います。

 「家族ができるだけ限界までやって下さい。限界を超えて破綻してしまうようでしたら国が支援しますから。」という福祉制度があるでしょうか? 
 
もし彼女の「20年に及ぶ介護の日々」に、人生や仕事を犠牲にせずとも良い福祉制度があったら・・・。彼女の人生の選択肢はもっと増え、彩(いろどり)豊かなパレットのようになっていたのかも知れません。
 
我慢&我慢。「しょうがない」「あきらめるしかない」の20年は長すぎます。69歳にしてようやく戻ってきた自分のための自由。

「自由とは怖れのないこと」、そんな歌詞があったことをふと思い出した次第です。

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ブログ文章 橋本昌周

江戸川区・京成小岩 / 千葉県 山武・東金市(出張専門)
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小児はり 不妊症の鍼灸治療

はなのやま鍼灸院
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2019年09月19日

認知症介護の疲労ケア〜泥棒と罵られる嫁〜

認知症やアルツハイマーなど、ご家族の介護をされている方が疲労困憊な状態で来院されることも少なくありません。その多くはお嫁さんです。

お話を伺うと、多く聞かれるのは 「泥棒扱いされた」「何十年いても嫁は他人なんだ」というお話です。カウンセリング中に、悔しくて泣きだされる方もおられます。

頭にきて母親を叩いてしまったという方もいらっしゃいました。

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3次元の私たちは 「因果律」という法則の中に生きています。

突然頭にボールをぶつけられたら、それが「4次元から飛んできたかも?」 と思う方はいないでしょう。 必ず、自分で解明(理解)できる範囲の中から 原因を見つけようとします。


認知症の方は、記憶が失われています。そして病識が無い方がほとんどです。

記憶をなくすのは忘れるのと違い、 何かのきっかけで思い出すことは皆無です。(お金を)自分がしまい忘れ、置き忘れ、使ってしまった記憶の全てがありません。 記憶を失くした状態で、「ある」と思って開いた財布からお金が消えていたら・・・

先ほどの因果律から、「お金が勝手に歩いて消えるわけない」 「誰かが盗んだとしか考えられない」と。 外出されない方の脳に浮かんでしまう犯人は、「ご家族の誰か」ではないでしょうか?


また脳は、同時にキーワードの連想処理を行っていきます。

「家族=(いつも傍にいる)お嫁さん」の連想も多いでしょう。 連想は他の家族には及びません。 最初に思いついたお嫁さんが家族の代表です。


そして認知症の方の脳内では、因果律と連想の二つのMIXが行われてしまいます。

自分の財布からお嫁さんがお金を盗んでいるシーンが作り出されてしまいます。 まるで「財布から盗んだ瞬間を目撃した」かのように言う方もいらっしゃるでしょう。

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でも・・・、家族というキーワードで連想したお嫁さん。 実は、認知症の方が、家族の中で一番信頼している(頼りにしている)存在なのです。

一生懸命頑張っても、毎日ののしられているお嫁さんは、怒りを感じることでしょう。

でも本人の脳中では、このような処理回路が働いてしまっている可能性も考えられるのです。 状況と症状が作りだす「認知症特有の幻覚」なのです。

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介護疲れを改善される為に来院された方には、肉体の疲労だけという方はおられませんでした。

365日24時間いつまで続くのかわからないOFFスイッチのない精神疲労。

ご自身のアクティブな時期がどんどん消耗されてしまうジレンマとあきらめ。


慢性的な疲労やストレスが蓄積されれば、誰しも心身の器量が小さくなりがちです。

今までは気にならなかった事にも、 イライラしたり、うんざりしたり。 疲れているのに全然眠れなくなったり、 一つの考えに頭が占領されたようになったり。

介護をしている方側が、精神と肉体ともに”疲労のスパイラル”に陥りかねません。


当院では「心と体は一体である」という、東洋的な考え方に基づいた全身(心)の調整を行います。

温まり休まった心身には、少しずつ余裕が生まれると考えるからです。

鍼灸で「ストレス源」そのものを消すことは出来ませんが、ストレスを入れておく物置の増築は可能です。

「心と体が一杯一杯にならないように。」

日々のストレス源に対して、少しでも心身の「余裕」を取り戻していただけたらと思うのです。

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ブログ文章 橋本昌周

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