2019年09月15日

慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndorome)

慢性疲労症候群と診断され、少し不安げな様子で来院された23歳の女性。「病院では ”原因不明” と言われました。鍼灸で何か改善できないでしょうか?」

慢性疲労症候群は原因不明の疲労倦怠感や筋肉痛などの症状を伴います。ベッドから動けなくなってしまう方もいらっしゃるほどの苦しさです。

彼女も「耐えられない疲労感」から就いたばかりの仕事を辞めざるをえませんでした。そしてカウンセリングで伺えば、彼女の辛さは症状だけではなかったのです。

「疲れたくらいで・・・」「仕事もしないで寝ていてばかりで疲れるわけない」などと、家族や周囲に病気を理解してもらえなかったこと。 それにより、気持ちにどうしようもない焦りが生じたことが一番苦しかった、と打ち明けられました。

さらに仕事を辞められたことで、「社会からどんどん離れていっているような隔離感」に陥り、精神的にもふさぎ込んでしまわれているようでした。

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「慢性疲労症候群」と慢性疲労は異なるものです。

名前が似ているせいで誤解されやすく、周囲の理解不足から症状以上に精神的に苦しめられてしまう方も少なくありません。

【概念】

・原因不明の重い疲労(労働や運動などが原因でないことが明らかなもの)が6ヶ月以上続き、日常生活に支障をきたす状態。

・完治例は少ないですが、対症的に投薬治療による疲労の軽減が行われています。

・更年期障害や自律神経失調症などの疾患や、鬱などの精神疾患と誤診されることも多いようです。これにより「遠回りの治療」に長年苦しまれる方も少なくありません。

・名前は似ていますが、原因のある「慢性疲労」とは異なるものです。


【症状】

・半年以上続く微熱(解熱剤などがあまり効果がないという特徴)

・原因のわからない強い全身倦怠感が伴います。(*仕事や育児や介護などで、原因が思い当たる場合は「慢性疲労」とし慢性疲労症候群とは区別します。)

・筋肉痛(腰・肩・腕・脚・背中などの特定部位に)激しい運動後の筋肉痛に近い痛み *動けないほどの痛みが出ることもあります。

・睡眠不足:寝つきが悪い。浅眠・早朝覚醒など。

・睡眠過剰:一旦眠ってしまうとなかなか起きられない。 昼間の異常な眠気。

・気分障害:鬱(うつ)に良く似た症状。 精神活動の妨げになることも。*憂鬱感や気分の落ち込みが続いて仕事を休んでしまう、「やる気が出ない」「何も手につかない」「続かずやめてしまった」など。

・注意力の低下注意力・集中力の散漫(鬱の症状でもある)、物忘れ、最近のことを記憶できないなど

・喉の痛み(リンパ節の腫脹を伴うことも)発症初期に出やすく、風邪を引いた時のような痛み、咳が止まらない、など。*「治りにくい風邪」と勘違いして、受診・診断が遅れることも。

・過敏性・・・光や明るさに対して過敏に。化学物質や食物に対するアレルギーの悪化など。

・多汗・・・外気温に関わらず、暑くて汗が止まらなくなったり。就寝中や起床時に寒気がするほどの寝汗をかいてしまうことも。

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原因は不明とされています

あらゆる年代や職業に発症が確認されています。原因不明の微熱や疲労感が数か月以上続きます。

原因もしもその1:ヘルペスなどの体内潜伏ウィルスの再活性化が関連?

何らかの原因で免疫力が低下することで、(過去の感染で)体内に潜伏していたヘルペス・ウィルスなどが再活性化したのでは?という研究もあります。

原因もしもその2:ストレスによる免疫力低下説

発症患者のほとんどが「生活に強いストレスを感じていた」という研究結果があります。 ストレス⇒血中のNK細胞(免疫担当)の活性低下⇒疲労感として発症(*NK細胞の数が低下することは慢性疲労症候群の患者に共通して確認できる現象です)。

*ストレス説に反論もあります
「全ての慢性疲労症候群の患者がストレスを感じていたわけではない」し「NK細胞の活性低下はストレスだけが原因ではない」という考え方もあります。


分類

疲労の原因がはっきりしている「慢性疲労」とは区別して、全く別の疾患として受け止めることで理解が深まります。

T類:精神疾患を全く伴わないもの。
U類:慢性疲労症候群の発症とほぼ同時に抑うつ状態が発症したもの。
V類:抑うつなどの精神病理の後に慢性疲労症候群が発症したもの。

*日本ではU・V類が多く精神疾患との関連も研究されています。
*日本では 慢性疲労症候群を発症した人の半数以上が抑うつ状態に。 また自律神経失調やうつ病などの発症後に慢性疲労症候群を発症するケースも多いのです。
*慢性疲労症候群に伴う鬱症状は、一般の鬱病とは別と考え、「慢性疲労症候群の症状の一つとしての鬱状態」と捉えます。


投薬治療と生活改善

・投薬によって免疫力を高めていく(疲労感改善)を目指します。 ビタミンC、ビタミンB12などとSSRI系(セロトニンの生成を促す)の抗うつ薬・精神安定剤の併用が効果的との研究もあります。

・免疫力向上の為に、早朝の朝日を浴びる(⇒セロトニンの合成を促進)。

・軽度の運動(疲労の残存に注意しながら) *激しい運動は意識が覚醒してしまい不眠が悪化してしまいます。

・禁煙(ビタミンの破壊を防ぎます)

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慢性疲労症候群のような、原因不明とされる疾患は数え切れません。

日進月歩で研究が進められていますので、やがては原因が解明され効果的な治療や特効薬が世に出ることでしょう。ですが、それは明日かも知れませんし、100年後かも知れません。 その間も、肉体的に、精神的に、慢性疲労症候群の方は苦しみ続けます。

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生命力(自然治癒力)へのアプローチ

「その方に本来備わった生命力(自然治癒力)の働きを高めることで症状の改善や予防を促進させる」これが東洋医学的な治癒(予防)の考え方です。

ところが、人生や日常の中でネガティブな要因が生じますと、その方の心身に滞りが生じ、生命力(自然治癒力)の働きもセーブされてしまいます。

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生命力(自然治癒力)の働きを弱めてしまう要因としては、

1、気質・体質などの先天的な素因。胎生期に生じた要因。遺伝的な要因。
2、疲労・ストレス、過去の病気や薬の影響、飲食や睡眠など生活習慣の不摂生、などの後天的な要因
3、転倒・事故・ケガ・手術など外傷性の要因
4、慢性的な不安やストレス、環境や価値観の急な変化、不安・焦り・憤り・恐怖など心因的な要因
5、加齢による老化などの生理的な要因

が考えられます。

東洋的な考え方に基づいた全身(心)の調整は、様々な要因により弱められた生命力(自然治癒力)を補うことで、原因不明の疾患や機能異常の根源的な改善を目指すものです。

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脳が絶え間なく作り出す疲労倦怠感や痛みは逃げ場がなく、とてもしんどいものです。

ですので「楽になった」「軽くなった」という症状の軽減を実感できる「対症的な施術」も必要だと考えます。

ですが一層深い部分においては、全身(心)の調整により、(できるだけ早期に)心身に生じた滞りを改善していくことが、生命力・治癒力を補い、より根源的な改善につながると確信しています。

「心と体は一体である。」 当院では、そのような東洋的な考え方に基づいて「原因不明の症状」「心身症」「ストレス疾患」を捉えます。

誰もが心身症の予備軍。そんな時代に生きているようにさえ思えるのです。

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ブログ文章 橋本昌周

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2019年09月11日

小児アトピー性皮膚炎・小児喘息 〜アレルギー体質と免疫〜

小児アトピー性皮膚炎や小児喘息など、お子さんのアレルギー症状に悩まれている方も多いかと思います。

辛い症状に耐えている我が子を見守るのは、親として胸苦しいものがあります。

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春先に生まれたばかりの男の子が、ママにおんぶされて「小児はり」を受けにきました。

可愛らしい笑顔がとても印象的でしたが、カウンセリングでお話を伺えば、最近になって 皮膚や呼吸器にアレルギー性の症状が出始めたということでした。

「花粉の影響でしょうか? 私も夫も花粉症です。今年は花粉が多かったので、この子にも遺伝的に花粉症が出ているのでしょうか?」

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生後から約6か月。 臍帯を通して「母親からもらった免疫」の効果は概ね半年と言われています。

今回のこの子の症状が、セキュリティ・ソフトの「有効期限が過ぎました」的なものなのかどうかは確認しようがありませんが、これから2歳半までが「自己の免疫」「獲得免疫」を身に着ける大事な修業期間です。

セキュリティ・ソフトのように「(ママからもらった免疫の)有効期限を延長する」はできません。

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すべての赤ちゃんは「アレルギーを起こしやすい免疫システム」を持って生まれてきます

これは、母親の胎内にいる時「Th1という大人のリンパ球」が優位であると、自分ではない母体との間に異物反応(細胞同士の争い)が生じて、流産してしまうのを防ぐ為と考えられています。

その為、母親の胎内では「アレルギー反応により自分を守る免疫システム」が優位な状態になっています。

生後もしばらくその状態が続きますが、外界の雑菌やストレスにさらされることで、少しずつ大人の免疫システムに成長していくのです。

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乳幼児のアレルギーやアトピー性皮膚炎などは、成長とともに自然治癒しやすい症状の一つです。


ただし、母親が過敏になり必要以上に清潔にし過ぎたり、ストレスを感じさせないような環境を整えてしまうと、免疫システムの移り変わりに時間がかかってしまうのです。

*ちなみに1歳未満の子に花粉症というものは存在しません。生まれた年に花粉に感作したとしても、アレルギーが出るのは「抗体」ができた翌年の花粉の時期になるからです。

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生まれてから免疫力が身に着くまでの期間(2歳半まで)は 「免疫修業の期間」でもあります。 様々なウィルスや雑菌、ストレスにもまれ、 戦うことで一人前になっていくのです。

東洋的な考え方に基づいた「小児はり」は、 お子さんの全身(心)を対象に調整を行います。 それにより免疫の過剰や不足をコントロールする 自律神経の働きをアクティブにします。

お子さんの免疫力向上のサポートに「小児はり」は効果的だと考えられています。

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2019年09月09日

痛風〜プリン体と尿酸代謝異常の正体〜

「食事も好きだったビールも気を付けてますよ。だけど全然(尿酸値が)良くならない。痛みだけでも何とかなんねぇかなぁ」と、鍼灸院にいらした60代の男性。


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痛風とは、尿酸の代謝異常から起こる症状です。

オシッコで捨てられなかった尿酸は血液中に取り込まれてしまいます(高尿酸血症)。

尿酸は血中では代謝されませんので、やがて結晶化し、流れ流れて体内のどこかの関節や腱、多くは足の親指の付け根、足首、膝などに沈着します。

この結晶化した尿酸の沈着により、関節や腱に激痛が引き起こされます。

「尿酸」とは、食べ物に含まれるプリン体が、体内で分解された最終代謝産物であり、また、体内の細胞の新陳代謝によっても作られる、体内で毎日合成される老廃物でもあります。

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これまでは、尿酸値を下げる為に「卵を我慢」「ビールを我慢」など、食事内容の改善による飲食のプリン体摂取の制限が推奨されてきました。

ところが最近の研究で、飲食によるプリン体から作られる尿酸よりも、体内で作られる尿酸の方が3〜4倍多い、ということがわかってきました。

飲食のプリン体制限だけでは痛風が改善しにくい方が多いのもうなずけます。(*とはいえ、プリン体の摂り過ぎは尿酸過剰になりやすいので全く気を付けなくても良いということではありません。)

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細胞の新陳代謝などによって、体内では毎日一定量の尿酸が作られます。

正常な状態では、同じくらいの量が排泄され体内の尿酸量を一定に保つようコントロールされています。ですが、尿酸の量が増え過ぎたり、うまく排泄することができないと高尿酸血症(尿酸代謝異常)が起こりやすくなります。

欧米諸国に比べて、たんぱく質の摂取量が少ない現代日本人は、プリン体の過剰摂取(尿酸の量)よりも「尿酸の排泄が上手にできない」ことによる高尿酸血症が多いと考えられています。

上手に尿酸を排泄できない。つまり老廃物を捨てきる良いおしっこができていないということです。

尿酸が捨てきれない おしっこのバランスが崩れる原因は、先天的な体質や遺伝によるもの・食生活・飲酒・ストレス・腎機能低下やホルモン・バランスの異常なども考えられます。

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飲酒について

これまでは、ビールのホップ(大麦麦芽)に含まれるプリン体を控えるために「ビール制限、焼酎やウイスキーならば良い」とされてきました。

もちろんプリン体カットは悪い事ではありませんが、 最近の研究では「体内のアルコールが代謝される時に尿酸と乳酸が生じる」「乳酸は尿酸の排泄を妨げる物質である」ということがわかってきています。

尿酸は、ビールだけでなく、アルコール全般の摂りすぎによっても多く作られるということです。そして常飲されている方ほど排泄されにくいと考えられます。


ストレスや疲労によるもの

蓄積された疲労や冷え、慢性的なストレスによる過緊張状態(心身が休まらない状態)は、有害な活性酸素を生じさせたり、体を酸性に傾けることがわかっています。


「中性・アルカリ性の尿」は尿酸の代謝をサポートします

尿酸は酸性の尿では溶けにくい性質がある反面、中性・アルカリ性の尿には非常に溶けやすい性質を持ちます。高尿酸血症の方の尿は酸性に傾きがちです。

酸性の尿は痛風だけでなく「尿路結石」を起こしやすくなります。酸性の尿を中和する為に、野菜や海藻などのアルカリ性食物の摂取をお勧めしています。


水分不足に気を付けて

水分不足で血液が濃くなり、相対的に尿酸値は上昇してしまうことも考えられます。 水分の摂りすぎは良くありませんが、必要量の水分摂取(排尿量を増やす効果もあり)は尿酸値を下げるのに必要なのです。

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臨床上は「痛み」の緩和が最優先となります。

対症療法といえばそうなりますが、鍼灸院にいらした時点で「我慢できない激痛をどうにかしてほしい」という方が多いのです。

関節に痛みが発症した時点で、すでに陽経を超え陰経(脾経など)にまで影響が及んでおりますので、陽実陰実病症として陰経へのアプローチを取り入れます。

当院では、痛風(尿酸代謝異常)を、先天的な素因・器質的要因・他の病気の合併症などを除けば、疲労や冷え・ストレスにより、心身が冷え・疲れきっているせいで、尿酸を上手く捨てられない位にオシッコが下手になっている、と捉えます。

全身(心)の調整により、その方の生命力(自然治癒力)の働きを補うことで尿酸代謝の改善を目指します。

痛風の改善は、現在の痛みが消えたら終了ではありません。

無痛期と激痛期の間隔は年々狭まってきますので、「尿酸に負けない元気なおしっこができる」ような、心身共に温まった状態がゴールだと考えます。

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posted by shosyuh at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記